他の営業マンが商談していると、気になって仕方なかった
創業した頃、私の他に営業が2人いました。ただ、正直に言うと、他の2人が商談をしていると、気になって仕方がなかったんです。
車の商談は、1台売り逃すと、当時でも15万円ほどの粗利がなくなります。しかも、次にお客様がいつ来るかは分かりません。だから、自分以外の人が商談して、それを逃すのが本当に嫌でした。
商談の途中で、自分が入っていくのが当たり前になっていた
この不安から、私は社員に細かく報告・連絡・相談をさせるようになりました。そして、いつでも声が聞こえる場所にいるようにしていました。
「このまま任せたら断られる」と判断すれば、商談の途中で自分が入っていく。報告を聞いて「ここは自分が入った方が決まりやすい」と思えば、そこでも商談に加わる。そういう時期が、しばらく続きました。
この判断は、経営者としては間違っていなかった
今振り返っても、この時の判断が完全に間違っていたとは思いません。1台15万円の粗利がかかっている以上、それを守ろうとするのは、経営者として自然な行動です。目の前の売り逃しを防ぐという意味では、正しい選択でした。
問題は、それを「今回だけ」の判断で終わらせず、ずっと繰り返してしまったことにあります。
商談に入り続けた結果、何が起きたか
自分が商談に入れば、その場では成約が決まります。数字だけ見れば、うまくいっているように見えます。
ただ、その裏で起きていたのは、社員が「決めきる経験」を積めないまま、時間だけが過ぎていくということでした。難しい場面になれば社長が入ってくれる。社員からすれば、そう思うのも当然です。そして、その状態が続く限り、社員は自分の力で商談を成立させる力を身につけられません。
会社が2人、3人の規模のうちは、これでも回ります。でも、社員が5人、10人と増えていくと、社長1人がすべての難しい商談に入ることは、物理的にできなくなります。そこで初めて、「自分がいないと決まらない会社」の限界に気づくことになります。
経営者が本当にやるべきだったこと
今の私なら、あの時こうしていたと思います。
- 商談に入るかどうかを判断する基準を、事前に決めておく(例えば「値引き交渉が◯万円を超えたら報告」など)
- 商談を代わった場合は、その場でやり方を見せるのではなく、商談が終わった後に、どこで難しくなったのかを本人と一緒に振り返る時間を作る
- 難しくなった場面と同じシチュエーションをロープレで再現して、どのタイミングで何を伝えるかを、何度も練習させる
私の場合、実際にこのロープレを繰り返したことで、社員の力は少しずつついていきました。売り逃しを防ぐために商談に入ること自体は、間違いではありません。ただ、入って終わりにするのではなく、そこから社員が自分で決めきれるようになるまでの過程を、あわせて用意しておく必要がありました。
私自身、この考え方に変えてから、商談に入る回数は減っていきました。この一連の経験を、無料のセミナー動画でお話ししています。
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