知り合いがやっていた「激安軽自動車専門店」
以前、私の知り合いに、激安軽自動車を専門に扱っている経営者がいました。コミコミ30万円くらいの車を中心に展示していて、1台あたりの粗利は5万円から8万円ほどだと言っていました。
車の状態も、それなりでした。外装は傷やへこみが多く、車内も薄汚れたまま、現状渡しでの販売。整備というよりは、壊れている箇所だけを直すという感じで、特に問題がなければオイル交換だけ。保証は1ヶ月・1000kmまでで、対象もエンジン本体とミッションという、壊れにくい箇所に限定されていました。
要するに、ボロい車を売っていたんです。安いのではなく、価格相応の車だったということです。
「忙しいのに儲からない」の末路
クレームも多かったそうです。1台あたりの粗利も少なく、いつも忙しそうに動き回っていました。でも、本人は「全然儲からない」とよくこぼしていました。実態は自転車操業だったようです。
そして、その店は廃業しました。
これは、一人の経営者だけの話ではない
私はこの話を、単なる知り合いの失敗談として聞いていたわけではありません。実際、今の業界データを見ると、これは決して珍しいケースではないことが分かります。
東京商工リサーチの調査によると、2025年の中古車販売の休廃業・解散も128件で、前年比48.8%増と過去10年間で最多を更新しています。
倒産しているのは、ほとんどが小・零細店
さらに注目すべきは、倒産している会社の規模です。中古車販売店の倒産は、資本金1千万円未満が約9割、従業員5人未満が9割近くを占めており、小・零細規模の会社に集中しています。
背景にあるのは、中古車の玉不足による仕入価格の高騰で、資金力の乏しい小規模店ほど仕入れの負担が重くなり、人件費や光熱費の上昇も重なって資金繰りが厳しくなっていることです。
「安売り」は、仕入コストの上昇に一番弱い
ここで、知り合いの店の話に戻ります。あの店の粗利は、1台あたり5万円から8万円でした。この水準は、仕入価格が今より数万円上がるだけで、簡単に吹き飛んでしまう金額です。
安さで勝負するビジネスモデルは、好景気のときはそれなりに回ります。でも、今のように仕入コストが上がり続ける局面では、利益の余裕がほとんどない状態で経営を続けることになります。忙しく動いていても、コストの上昇分がそのまま利益を削っていくので、いつまでも資金繰りが楽になりません。
経営者として、この数字から何を学ぶか
倒産件数の増加を、「今は業界全体が厳しい時期だから仕方ない」で終わらせてしまうと、対策のしようがありません。
ただ、データを見る限り、倒産しているのは主に小・零細規模で、薄い利益率のまま仕入コストの上昇に耐えられなくなった会社です。逆に言えば、1台あたりの粗利に、ある程度の余裕を持たせておける会社は、この波を乗り越えやすいということでもあります。
来店数を増やして忙しく動くことより、1台あたりでどれだけ利益を残せる体質になっているか。今の業界の数字は、その問いを、すべての車屋の経営者に突きつけていると思います。
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