創業当初、安売りするしかなかった理由
創業した当初は、カーセンサーやグーネットで集客するしかなくて、とにかく他より安くしないと反応が得られませんでした。
相場より安めの車をオークションから仕入れて、最低限の整備、保証なしの現状販売、1台の粗利も薄くして掲載していました。「激安」「格安」をアピールして、それに釣られたお客様が集まってくる。そんなやり方でした。
安売りの先に待っていたもの
でも、価格の安さを求めた来店ばかりなので、相見積もりも多いし、値引き要求も多い。売った後のクレームも多くて、忙しい割には利益が残らず、自分も社員もどんどん消耗していきました。
さらに、車両本体価格を安く掲載して、来店したら少し高めの諸費用で回収する、という若干引っ掛け商法っぽさもあり、正直、いつも罪悪感を感じていました。
「もうやめよう」と決めた瞬間
こんなことをやりたくて独立したわけじゃない。このままじゃ、いつまで経っても儲からない。程度があまり良くない車を、程度極上みたいな嘘をついて売るやり方は、もうやめようと思いました。
本当に良い品質の車を、念入りな整備を行い、手厚い保証をつけて、安心・安全な中古車を提供して、お客様と長く良いお付き合いをしていく。こういった路線に切り替えることにしたんです。
第一歩は、車・整備・保証の質を上げること
まず、仕入れる車の質を上げました。展示する際にも、ちょっとしたキズや凹みはきれいに直して、車内も何時間もかけてルームクリーニングを行いました。
装備品なども細かくチェックして、壊れているものは交換。タイヤも同様に、溝はあってもひび割れがあるものや、車検は通るけれど溝が少なめのタイヤは、新品か、中古でも5分山以上のものに、あらかじめ交換するようにしました。
保証も、保証会社と提携して、全国対応の手厚い保証を全車につけるように変えました。
社員の反応は、意外にも好意的だった
今までの安売り路線から、車の質、整備の質、保証の質を上げて、安心・安全な中古車を適正価格で提供する。このコンセプトを、丁寧に社員へ説明しました。反発はありませんでした。むしろ、「いいですね!」「売る側としても安心です!」という声の方が多かったんです。
社員も、心のどこかで、今までのやり方に違和感を持っていたんだと思います。安売り経営から抜け出す第一歩は、価格を上げることではなく、まず「何を、どう変えるか」を、社員にも正直に伝えることだったと感じています。
振り返ってみると、安売り経営を続けていた頃は、お客様と信頼関係を築くというより、価格の安さだけでつながっている状態でした。
だから、少しでも安いところが見つかれば、お客様はすぐにそちらへ流れてしまいます。リピートしていただくことも、紹介していただくことも、ほとんどありませんでした。
安売りをやめると決めた時、正直、売上が一時的に落ちる不安もありました。でも、車の質と誠実さで選んでいただけるようになると、お客様との関係も長続きしますし、社員も自信を持って接客できるようになります。
目先の来店数よりも、長く選ばれ続ける会社になることの方が、結果的に会社を安定させると実感しています。
今、当時のことを振り返ると、あの罪悪感を抱えていた時期があったからこそ、今の路線に本気で切り替えることができたのかもしれません。安さだけで集めたお客様は、安さだけで離れていきます。
だからこそ、価格以外の部分で選ばれる会社になることが、経営者として一番大事な決断だったと思っています。
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