台本がなかった時代、トークはバラバラだった
台本がなかった時代、営業マンごとにトークはバラバラでした。まあ、これは当然そうなりますよね。何を話すかは、誰も教わっていないんですから。
ただ、ここで一つ大事な気づきがありました。何を話すかと同じくらい大事なのが、「売れる流れ」だということです。
「何を話すか」より「どの順番で話すか」
距離を縮める、購入背景をヒアリングする、信頼関係を作る、見積もりを説明する、クロージングする。この一つひとつのパートは、営業マンならなんとなく理解しています。でも、これらを、どのタイミングで伝えるかが、実はものすごく重要なんです。
車を売る商談には、うまくいきやすい鉄板の「型」があります。だから、この流れが大切なんですよね。
面白いのは、同じ言葉、同じトークだったとしても、どのタイミングで話すかによって、お客様の反応がまるで違ってくるということです。
信頼関係ができる前に見積もりの話をしても響きませんし、購入の背景を聞かないままクロージングに入っても、押し売りにしか感じてもらえません。同じ内容でも、順番次第で、まったく違う商談になってしまうんです。
台本がなかった頃、実際にこんな場面を何度も見てきました。営業マンが、お客様の警戒心がまだ解けていない段階で、いきなり見積もりの話を始めてしまう。
お客様からすれば、「まだそんな話をする関係じゃないのに」と感じて、一気に距離を置かれてしまうんです。本人は真面目に接客しているつもりでも、順番を間違えているだけで、商談そのものが壊れてしまう。こういうケースが、台本と流れを整えてから、目に見えて減っていきました。
台本は「トーク集」じゃなくて「トーク+流れ」
台本というと、多くの人は「話す言葉を集めたもの」をイメージすると思います。でも、自分が作った営業台本は、それだけじゃありません。トークと、売れる流れをセットにしたものです。
だから、新人であっても、何を、どのタイミングで話せばいいかが、はっきり分かるようになっています。ベテランの頭の中にしかなかった「この場面ではこう話す」という判断が、誰でも実行できる形になっているということです。
大事なのは「再現性」
ここで一番大事にしていたのは、「再現性」です。
トークの内容だけを渡しても、それをどのタイミングで使えばいいかが分からなければ、結局は営業マンの感覚に頼ることになります。感覚に頼っている限り、センスのある人は結果を出せても、そうでない人は、いつまでも成果が安定しません。
でも、トークと流れがセットになっていれば、経験の浅い営業マンでも、ベテランに近い商談の進め方を再現できます。成約率が営業マン個人ではなく会社の仕組みで決まるという考え方が、属人化の問題を解消し、会社としての安定につながっていくんです。
新人教育のスピードにも、はっきりと差が出ました。流れのない状態で「見て覚えろ」とやっていた頃は、一人前になるまでに数年かかっていました。
でも、トークと流れがセットになった台本があれば、早い人だと数ヶ月で、ある程度の型を再現できるようになります。この差は、経営としてかなり大きいです。
経営者にとって、台本は「投資」
台本を作るというと、単なる営業ツールの一つのように思われがちです。でも、経営者にとっては、これは会社の売上を、特定の個人に依存させないための投資だと考えています。
トークだけでなく、流れまで含めて設計する。作って終わりにせず運用まで含めて考えるこの一手間をかけるかどうかで、新人が戦力になるまでのスピードも、会社全体の成約率の安定度も、大きく変わってきます。
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