「今日決めてくれるなら5万円値引きします」で売っていた頃
創業した頃、私はバリバリ値引きをして売っていました。そうしないと売れなかったからです。「今日決めていただけるなら、5万円値引きします」というのが、当たり前の商談でした。完全な薄利多売です。
ところが、途中から状況が一変しました。全営業マンが、値引きゼロで販売するようになったんです。しかも、成約率は70%前後を維持したまま。
さらに言えば、当時のうちの中古車の価格は、相場よりも高い設定でした。値引きなし、相場より高い価格、それでいて成約率70%。この数字を、実際に出し続けていました。
なぜ、多くの車屋が値引き前提から抜け出せないのか
値引きなしで売れる仕組みそのものは、この記事だけで語り尽くせるものではありません。ただ、なぜ多くの会社が値引き前提から抜け出せないのか、その原因は共通しています。
序盤からサービスをアピールしてしまっている
多くの車屋は、フェアやサービスをアピールします。お客様は、それを見た瞬間から「この価格から、どれだけ安くなるか」という視点で商談を捉えます。値引き交渉は、サービスをアピールした時点で、すでに始まっているんです。
値引きの判断が、営業マン個人に委ねられている
「今日だけ特別に」と、営業マンがその場の判断で値引きに応じられる会社は、必ず値引きが常態化します。お客様からすれば、粘れば下がるとわかっている相手に、粘らない理由がありません。
価格以外に、判断材料を渡していない
車両価格しか判断材料がなければ、お客様は価格でしか比較できません。整備の質、保証の内容、納車後のサポート体制といった、価格以外の判断材料を先に伝えていないと、最終的には「一番安い店」が選ばれます。
値引きなしで成約率を保つために、経営者が変えるべき3つの視点
私が値引きゼロに変えていく過程で、実際に見直したのはこの3点でした。
1. 見積もりを見せる順番を変える
価格を最初に提示するのではなく、車の状態、整備内容、保証内容を先にしっかり伝えたうえで、見積もりを提示する順番に変えました。価値を理解したうえで見る価格と、いきなり見る価格では、お客様の受け取り方がまったく違います。
2. 値引きの権限を、営業マンから外す
「値引きするかどうか」を、営業マン個人の判断に委ねるのをやめました。会社としての価格方針を先に決め、現場ではその方針に沿って商談を進めるようにしました。これにより、営業マンが「粘られたから下げる」という選択肢自体を持たなくなります。
3. 価格以外の安心材料を、先に用意しておく
整備記録、保証内容、納車後のサポートなど、価格だけで比較させない材料を、商談の早い段階でしっかり見せるようにしました。お客様が「高いけど、ここなら安心」と感じられる材料を、こちらから先に渡すことが重要でした。
H2: 経営者として、押さえておきたいこと
値引きをなくすというのは、単に「値引きしません」と宣言することではありません。値引きに頼らなくても選んでもらえるだけの理由を、こちらから先に、明確に提示できているかどうかの問題です。
この3つの視点だけでも、値引き前提の商談から抜け出す土台にはなります。ただ、実際に70%という成約率を維持するには、集客の入り口から商談の最後まで、一貫した設計が必要でした。
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