「整備の仕事が減っていく」と感じていた、ある整備工場の社長
以前、コバックの加盟店として整備工場を経営されている社長から、営業コンサルティングのご依頼をいただいたことがあります。
そのときにおっしゃっていたのが、「EV化が徐々に進んでいて、これから整備の仕事が減っていくと思う。だから、車販にもこれから力を入れていきたい」という話でした。エンジンオイル交換や部品交換といった、これまでの整備の主力業務が、EVでは大きく減っていくという懸念です。
実際、日本のEV化はどこまで進んでいるのか
この社長の感覚は、決して的外れなものではありません。ただ、実際のデータを見ると、少しだけ違う景色も見えてきます。
日本自動車会議所の発表によると、2025年10月時点で新車販売に占めるEVの比率は約2.8%にとどまっており、充電インフラの地域的な偏りや車両価格の高さが普及の障壁になっています。
ハイブリッド車が高い信頼性で主流を占めている今の日本市場では、世界的なEVシフトのスピードに比べると、まだかなり緩やかな移行段階にあります。
一方で、日本政府は2035年までに乗用車の新車販売を電動車100%にするという目標を堅持しており、2025年末には購入補助金の上限を130万円まで引き上げるなど、普及を後押しする姿勢を強めています。
つまり、「今すぐ整備の仕事がなくなる」という段階ではないものの、「この先、確実に進んでいく変化」であることは間違いありません。
この社長の判断が、経営として正しかった理由
ここで大事なのは、この社長が「今すぐ危機だ」とパニックになっていたわけではないということです。整備需要がすぐになくなるわけではないと分かった上で、先を見て、今のうちに収益の柱を増やしておこうとしていたんです。
整備という一つの収益源だけに頼っている状態は、EV化がどの速度で進むにせよ、長期的にはリスクになります。だからこそ、需要がまだ十分にある今のうちに、車両販売という別の収益源を育てておく。これは、危機感からの焦った判断ではなく、先を読んだ経営判断でした。
経営者として、この変化にどう向き合うか
EV化のスピードは、業界の中でもさまざまな見方があります。だからこそ、「EVが増えたらどうしよう」と漠然と不安を抱えるより、今の売上構成のうち、どこか一つの柱に依存しすぎていないかを確認しておくことの方が重要です。
整備の売上が9割を占めている会社と、整備と車両販売でバランスが取れている会社とでは、この先何年かけて変化が進んでも、受けるダメージの大きさはまったく違います。
業界の変化を「そのうち何とかなるだろう」で済ませず、今のうちに収益の柱を一つ増やしておく。この社長のように、早い段階で動き出すことが、5年後、10年後の経営の安定につながります。
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