こんにちは、野瀬です。
17年間の中古車販売店経営を経て、今は「営業マン育成×仕組み化」構築のお手伝いをしています。
今回は「営業評価」の話です。
あなたの会社では、営業スタッフの評価をどう決めていますか?
- 売上金額?
- 契約台数?
- 粗利額?
もちろん、数字は大事です。成果を出した人を評価することに、異論はありません。
ですが、私が会社を経営してきた中でハッキリわかったのは
「売れた人だけが評価される仕組み」は、営業組織を壊す。
そして、
「プロセス評価」に変えた途端、売上・育成・定着、すべてが好転した。
という事実です。
この記事では、なぜ“結果だけ”の評価が危険なのか?
そして、“プロセス評価”とはどうやるのか?
私の実体験から詳しくお伝えします。
売れた人だけが評価される職場で、何が起きるか?
ウチの会社も、昔は完全に「売れた人が正義」の文化でした。
- 売れた人は表彰、ボーナス
- 売れない人は「もっと頑張れ」と言われるだけ
- 売れる人はノウハウを教えず、自分だけ数字を追う
- 売れない人は自信をなくし、3ヶ月〜半年で辞めていく
結果として、
✅ トップ営業が辞めると売上が激減
✅ 組織として人が育たない
✅ 雰囲気がギスギスして新人が定着しない
まさに「属人化」の限界でした。
プロセス評価に変える決断をした理由
あるとき、新人のA君が、必死に頑張っても1台も売れない月がありました。
でも彼は、
- 朝イチで全車の洗車を終え
- お客さんがいない時も商談ロープレを自分から依頼し
- 接客ミスの反省をノートにまとめ
- 先輩の商談を毎日見学し、夜遅くまで勉強していた
私は心の中で「こいつは絶対に化ける」と思っていました。
でも、会社のルールでは「0台=最下位評価」。
ボーナスもなし、昇給もなし。
この瞬間、私は決断しました。
「結果じゃなく、努力と成長を見て評価する会社にしよう」
プロセス評価とは、どういう仕組みか?
「プロセス評価」というと、なんだかフワッと聞こえるかもしれません。
でも、実際には“明確な基準”を持たせることで、納得感のある仕組みになります。
以下が、ウチで導入したプロセス評価の一例です。
【1】プロセスKPIの設定
数字を追うだけでなく、過程を数値化して評価します。
指標 | 目標 | 評価ポイント |
---|---|---|
外商談件数 | 週10件以上 | ○以上で加点 |
中商談誘導率 | 60%以上 | ○以上で加点 |
クロージング回数 | 80%以上 | ○以上で加点 |
商談レビュー提出 | 毎週1件以上 | 提出で加点 |
営業日報の質 | Aランク以上 | 内容で加点 |
【2】“行動量×学習姿勢×貢献度”で評価
・お客さんに電話した件数
・ロープレ参加回数
・他メンバーの商談補助
・SNS投稿、在庫管理など裏方仕事
売れなくても、動いている人・学んでいる人・支えている人をちゃんと評価する。
【3】四半期ごとの自己評価・面談・フィードバック
本人が「自分のがんばり」を言語化する機会を設け、
上司とすり合わせることで納得感のある評価に。
プロセス評価を導入して、起きた3つのメリット
【1】新人が“辞めない”
評価の基準が「売れた/売れない」だけではないので、
営業未経験の新人でも「自分の頑張りが認められてる」と感じるようになります。
実際に、以前は1年以内の離職率が50%以上でしたが、
導入後は1年以内の離職がほぼゼロに。
【2】チーム内で「教え合う文化」が育った
「自分だけが売って評価されればいい」という空気がなくなり、
チーム全体でロープレや商談フィードバックをする文化が生まれました。
なぜなら、「自分が誰かに教える=自分の評価にもなる」からです。
【3】結果的に売上も上がった
「結果じゃないなら、甘やかしじゃないの?」と思われるかもしれません。
でも事実は逆でした。
プロセスを重視した方が、最終的な結果(売上)も伸びるんです。
なぜなら、日々の行動が積み重なれば、必ず数字につながるから。
そして、本人の“納得”がモチベーションになるから。
それでも「売上評価をやめられない」あなたへ
「いや、でもウチは歩合だから」
「結果を出した人が報われないと、やる気出ないでしょ?」
その気持ちもよくわかります。
だから私は、「完全にプロセス評価に切り替える」のではなく、
「結果」と「プロセス」の両方をバランスよく見る評価制度
にしていました。
売れた人も評価する。
でも、売れなかった人のがんばりも見逃さない。
この“両立”が、健全な営業組織をつくるカギです。
まとめ:プロセスに光を当てた会社は、結果も育つ
営業マンは人間です。
失敗もするし、伸び悩むこともある。
でも、「この会社は自分をちゃんと見てくれてる」と思える環境があれば、踏ん張れます。
会社の未来は、ひとりひとりの“成長の積み重ね”でできている。
その努力に光を当てられる会社こそ、長く、強く、続いていくのです。
「プロセス評価をどう整えるか?」はこの一冊に詳しく書きました
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