こんにちは。ナンバーワン自動車販売プロデューサー野瀬貴士です。
最近中古車ビジネスでも「新業態」を謳うコンサル会社なども増えてきました。
その中でも良くご相談をいただくのが、「〇〇円軽自動車専門店」です。
中古の軽自動車を39.8万円などの激安専門店にする業態だそうです。
すでにやってしまっている方からは、なかなか利益が取れないと言う話なのですが、これからやろうと思っているのですが大丈夫ですか?と言うご相談も結構多いです。
私がお伝えしている内容とは真逆の仕組みなので、私自身はやらないのですが、この業態は本当に儲かるのかどうなのか?を考察してみたいと思います。
不安に感じている人はご参考いただければと思います。
「39.8万激安軽自動車専門店」は実際に儲かるのか?
このような業態の説明会にいくと多いのが、圧倒的な成功事例を見せられてやる気になってしまう社長や幹部たちです。
中には社長の息子がセミナーに参加して心酔してしまい社内で強引に進めようとして揉めてしまったと言う話も聞いたことがあります。
話を聞き、成功事例を見ると自分たちでも簡単に儲かることができるのではないか?と思うと思います。
確かに、低価格で販売すると一気に集客ができて売上は増える可能性はあります。
数が出れば儲けることも可能でしょう。
例えば、一般的な低価格の中古軽自動車の粗利はよくて15万円くらいが1台あたりの利益となるでしょうか。
広告などなしで年間300台売れたとします。
1ヶ月あたり25台です。
車体価格39.8万円ということはコミコミ価格50万円位になりますので、25台販売時の売上高は1,250万円になります。
月間売上1,250万はすごい!と思ってしまいますよね。
ですが、実際の利益は、月間375万円の利益になります。
これはあくまで広告費0場合です。
激安軽自動車専門店はカーセンサー、グーに掲載しているところも多いでしょうから、ここから掲載料が毎月取られていきます。
大体月間50万ほどになるでしょうか。
そして、WEB集客も絡めるのなら、おそらく広告に資金投下しろ!と言われるでしょう。
こちらも月間30万ほどとします。
広告費に月間80万から100万位かかるとします。
さらに、375万の中から、人件費、家賃、FCロイヤリティ、コンサル費用などの固定費なども払っていきます。
さていくら残るでしょう。
これはあくまで売れているお店というモデルで、商圏人口やライバルなどを考えたら当てはまらないかもしれません。
ですが、売上高に対しての利益は少ないのでもっと数を販売しないと厳しいとは思います。
実際には、それだけ売れたら人員確保しないといけないので販管費がかかってきます。
実際にはもっと利益は薄くなるでしょう。
なので、小規模、中規模の会社が手を出すと自転操業になりかねないのではないか?というのが私の見解です。
うまくいくのは、数を仕入れできて数多く販売する仕組みが出来ている資本のある会社であり、ライバルが周りに少ない会社です。
その条件ならうまくいくかもしれません。
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地域1番店になることができればうまくいくかもしれませんが、個人的には利益が低いのでオススメはしないかなと思います。
ここからは、どのように見極めていけばいいのかをお伝えします。
参考になる方はしていただけたらと思います。
成功事例は売上高や販売数で見るのではなく利益を見ること
多くの中古車販売会社が失敗への道に行ってしまうのは、売上高ばかりに目がいっていまっているからです。
売上高という数字に踊らされて売上は伸びたけど利益が全然出ないから結局会社にお金が残っていない。という事態になってしまいます。
わかりやすくいえば、車体価格100万の車を売るために広告費に50万突っ込んでいたら完全な赤字ですよね?
広告費は利益から捻出しないといけません。
売上高から出すものではないのです。
なので、成功事例での数字をみた時には、利益がどれくらい出ているのかを計算することです。
逆に利益がしっかり取れることを確認しましょう。
経営は利益をしっかり取れるかどうかが重要です。
薄利で、成功事例で聞くような多売できるのであればいいのですが、ほとんどの車屋さんは薄利で台数は成功事例よりも出ないでしょう。
薄利少売だと儲かることは絶対に無理です。
車の購入頻度はそんな高いものではありません。
これは軽自動車でも同様です。
1回買った人が年に何度も買うことはないでしょう。
コンビニやスーパーとは違うのです。
永遠新規客を集め続けるほどツライ商売はありません。
ですので、単価をあげてしっかり利益を取る仕組みを作った方が、お客様との関係性も構築でき、長いお付き合いが可能になると私は考えています。
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近隣に同業態のお店がないか見極めること
これはFC(フランチャイズ業態)にありがちなのですが、成功業態!と言いながらその業態のお店が乱立しだすと集客に苦しむことになります。
最初はライバルがいないのでその安さに飛びつきお客様は来るかもしれませんが、周りにも同じような看板が乱立してくるとお客の奪い合いになっていきます。
いわゆるコモディティ化ですね。
そうなってくると広告費を増やすなど、必要経費が上がっていき更なる利益の圧迫となっていくでしょう。
その業態が増えてきた時が「旬の終わり」でもあることを覚えておきましょう。
低価格路線でいくと値上げはしにくくなってしまう
価格が低いところから値上げをするとお客様からの反発を買うことがあります。
高いものが安くなっていると思うから欲しいお客様がくるのであって、そこから値上げをすると一気にお客様は離れていくので、一度この業態をやってしまうと「なかなかやめられない」という劇薬でもあるのではないか?と思います。
また、専門店を謳ってしまったら、その業態からの変更をした後に集客にも苦戦することになります。
それなら最初から単価をあげてお客様へ納得して買っていただく方がいいでしょう。
値引きもせずにしっかり利益をとってお客様に喜んで買っていただく仕組みを作ることがこれからの中古車販売店が生き残っていくために必要なことではないでしょうか?
安ければいい!という時代はもう終わっているのではないかと私は思っています。
お客様が求める価値をしっかり提供できれば単価を上げることは十分可能です。
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まとめ
私は安く売ることを否定しているのではありません。
それでしっかり集客できて販売数も増え、利益が取れるのであればそれでいいでしょう。
その決断をするのは社長様なのでそれを否定することもありません。
ただ、響の良い成功事例(言葉や数字)が真実ではないということを知って欲しいと思っています。
その数字の裏には何があるのか?
利益という事実を見極めた上で判断して欲しいと思っています。
私が教えている中古車販売店向けコンサルティングでは売上高だけではなく「利益」を上げる仕組み作りをお伝えしています。