こんにちは、車屋専門の採用コンサルタント野瀬貴士です。
近年、自動車整備業界において深刻な人手不足が続いています。
特に若手整備士の確保が難しくなっており、このままでは車検業務の遅延や、地域の安全な交通インフラを支える整備体制そのものが揺らぎかねません。
2025年度には、国土交通省が修理代金や整備士の賃金に関する実態調査を行う予定です。
これは、業界全体が慢性的な賃金停滞や待遇面の課題を抱えていることへの問題意識の表れです。
大手ディーラーであっても整備士不足に悩まされている中、小規模の整備会社や町工場では、なおさら厳しい状況です。
では、このような時代において、小規模の自動車整備会社ができる「待遇改善」のための現実的なアクションとは何でしょうか?
この記事では、経営資源の限られた小規模事業者でも実行可能な具体策を整理してご紹介します。
賃金以外の「見える待遇」を考える
確かに、賃金は待遇の大きな要素です。
しかし中小・零細企業では、すぐに大幅な賃上げは難しいというのが実情でしょう。
だからこそ、「お金以外の待遇改善」に注目することが重要です。
例えば、勤務時間の見直しや、完全週休2日制の導入または柔軟な休暇取得制度などの残業やエアコンや暖房完備のピット環境整備など、賃金以外で待遇改善することは可能です。
こうした働きやすい環境は、求職者にとって大きな魅力になります。
自動車整備士にとっては「きつい・汚い・危険」の3Kイメージがつきまといがちですが、それを払拭する取り組みを積極的に発信することで、志望者の裾野を広げることができます。
「将来のキャリアが見える職場」づくり
整備士の仕事は技術職である一方、長年同じ業務を続けても将来のステップアップが見えにくいという課題があります。
そこで、例えば以下のようなステップアップの仕組みを社内に設けると、若手整備士のモチベーション向上につながります。
例えば、整備技術等級ごとの明確な評価制度や、資格取得支援制度(整備士資格、電気自動車整備認定など)
また、すぐには難しいかもしれませんが、「将来的には店舗のマネージャーになれる」「経営にも関われる」といったビジョンを共有することで、「整備士=現場作業員」からの脱却を図ることができます。
学校や地域との連携を強化する採用戦略を考える
自動車整備士を志す若者の数は減少していますが、地域の専門学校や工業高校には、今でも一定数の志望者がいます。
これらの教育機関と連携することで、継続的な人材確保につなげることができます。
具体的には、実習や授業の共同、就職支援、資格取得支援など、様々な形で連携が取れるはずです。
また、Uターン・Iターン希望者へのサポート体制(引越補助や住居紹介など)を整えることも、地方の会社にとっては強い武器になります。
自動車整備士の「ブランド価値」を上げる自社メディアでの情報発信も必須です!
自社メディアでの発信は採用のためだけではありません。
自動車整備士の価値を高め、より多くの人に素晴らしい仕事だ!と認知してもらい、待遇の悪いイメージが先行している一般の会社と、あなたの会社での自動車整備士の待遇の違いを知ってもらうことで差別化を図ることができます。
多くの会社は採用には求人サイトやハロワークなどを活用することが多いと思います。
しかし、現状は思ったような人材を獲得できずに、応募も来ないことが多いでしょう。
そして、HPは持っていても更新は全くされてなく、作った時のままという会社が多いと思います。
その更新されてない自社HPを活用し、採用ページを作り自動車整備士に向けて発信していくことで、あなたの会社で働きたい!と思ってもらえる人材を獲得していくのです。
自社メディア採用戦略については、こちらの記事で詳しく解説しています。
↓
車屋の採用率アップの切り札!欲しい人材の採用率をアップさせるための自社メディア採用戦略とは?
また、今の時代に若い人材に知ってもらうためには、SNSなどの発信も考えていけなければいけません。
ですが、今まで情報発信をしていない社長が業務の合間にいきなり情報発信をしていくのはかなり大変だと思います。
どうすれば良いかもわからないはずです。
ですので、そのようなサポートも当社では行っているのでお気軽にご相談いただけたらと思います。
自動車整備士が整備以外の雑務に追われないように体制を考えること
せっかく整備士として勤めているのに、雑務に追われて忙しくなってしまい、結果的に激務となってしまうことで退職してしまう。
このような悪循環になっている会社も多いでしょう。
場合によっては、できることはデジタル化して、効率よく仕事を回せるようにすることも必要かもしれません。
例えば、作業履歴や部品管理のデジタル化(クラウド整備管理ソフトの導入)、顧客対応のLINE公式アカウント化なども検討できます。
また、車検・点検予約のオンライン受付や、ペーパーレス化による事務負担軽減なども考えられるでしょう。
こうした取り組みによって、整備士が「整備以外の雑務」に追われる時間を減らし、働く価値を高めることができます。
このように、いきなり給料を大幅に上げることはできなくても、身近なことでできることはたくさんあります。
人手不足が叫ばれる中、「自分たちのような小さな工場には無理だ」とあきらめてしまう経営者もいるかもしれません。
しかし、小さな会社だからこそ、柔軟に、素早く、そして心のこもった改革ができるという強みもあります。
一気にすべてを変える必要はありません。
まずは、整備士が笑顔で働ける環境づくり。
次に、その魅力を外に発信。
そして最後に、「この工場で働いてよかった」と言ってもらえる職場へ。
それこそが、自動車整備士という大切な職業を未来へつなぐ、本当の「待遇改善」なのではないでしょうか。
私も協力できることは一緒に考えやっていきます。
できることから、一歩ずつやっていきましょう!