こんにちは、車屋専門の採用コンサルタント野瀬です。
深刻な整備士不足は、今後さらに大きな問題となっていきます。
そんな中、これまで男性が中心とされてきた整備士という職業において、「女性整備士の採用」という新たな選択肢が、徐々に注目を集めています。
そこで、この記事では、女性整備士の現状や採用するメリット、さらに他企業との差別化に繋がる視点から、女性整備士採用の可能性について考えていきます。
現在の女性整備士の割合と現状
自動車整備士全体の中で、女性の占める割合は非常に少ないのが現状です。
国土交通省のデータ(令和4年)によると、自動車整備士資格を持つ女性は全体のわずか2.1%。
これは約130万人いる整備士の中で、女性が2万人弱しかいないという計算になります。
この数字が示す通り、整備士という職業はまだまだ「男性社会」であると言えます。
しかし、少数でありながらも女性整備士は確実に増加傾向にあり、特に若年層では整備士専門学校に入学する女性も年々増えています。
実際に、女性でも整備士になりたい!という方もいます。
”自動車整備士になりたい女です。面接で男性にはない女性ならでは?のことはなんですかみたいな事聞かれたらなんて答えればいいですか?”(Yahoo!知恵袋)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10250470875
こんな相談を投稿サイトにしている方もいます。
まだまだ自動車整備士は男の仕事だ!と思っている社長も多いですが、人材不足を考えた時に、女性という選択肢も考えると採用への間口は大きくなります。
女性整備士が持つ強みとは?
女性が整備士になることには、企業にとって多くの利点があります。
女性は細かい作業や気配りに長けているとされ、配線や内装部品の扱い、狭いスペースでの作業などで強みを発揮しやすいです。
また、整備だけでなくお客様との接客にも柔らかい印象を与えるため、接客型の整備工場ではとくに重宝されます。
そして、男性だけの職場に女性が加わることで、職場の空気が柔らかくなり、コミュニケーションが円滑になるという報告も多くあります。
多様な視点が加わることで、問題解決力や生産性の向上にもつながることが期待されます。
実は集客にも女性整備士はプラスに働きます。
その理由は、最近では女性ドライバーも年々増加しているからです。
女性整備士がいることで、女性のお客様がより安心して相談できる雰囲気が生まれ、リピーターや顧客満足度の向上にも寄与します。
このように、女性整備士を採用する利点は大いにあることがお分かりいただけるのではないでしょうか?
また、自動車大国のアメリカではアメリカのペンシルベニア州にある「Girls Auto Clinic」は、スタッフが全員女性の自動車整備工場があります。
参照:Girls Auto Clinic
では、女性整備士を採用し整備士不足を解消するためには何に気をつければ良いのでしょうか?
採用面でのハードルと解決への取り組み
一方で、「女性を採用したいと思っても応募がない」「体力的に難しいのでは」といった不安の声もよく聞かれます。
しかし、これらの課題は職場環境や働き方の見直しによって十分に対応可能です。
体力問題は道具や設備でカバー可能
近年の整備現場では、リフトや電動工具の進化により、力に頼る作業は少なくなってきています。また、重作業の分担や適正配置を行うことで、無理なく働ける職場作りが可能です。
これは国土交通省も推奨していたりします。
参照:女性がより活躍できる業界を目指して
女性が働きやすい環境整備
更衣室や休憩室の整備、トイレの清潔さ、セクハラ・パワハラ対策の徹底など、基本的な職場環境の整備は大前提です。
加えて、柔軟な勤務時間や育児との両立支援も長期的な雇用のカギとなります。
女性整備士が働きやすい環境については、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひお読みください。
↓
女性も安心して働ける整備士の職場とは?「長く活躍できる環境づくりのポイント」
女性整備士の採用がもたらす差別化
アメリカでは、実際に女性整備士を前面に出したマーケティングやブランディングに成功している整備工場も増えてきました。
しかし、まだ日本ではそこまで積極的な採用にはなっていないはずです。
ですので、今がチャンスとも言えます。
たとえば、「女性が安心して相談できる整備工場」としてアピールすることで、女性ドライバー層の集客に成功している例もあります。
女性整備士が点検・説明を行うことで、「無理に勧められないか」「何をされているのか分からない」といった不安を払拭できるのです。
また、「女性整備士が活躍する工場」というだけでも、企業のストーリー性や社会的評価が高まります。
そして、SNSでの発信や求人広告でも、女性の活躍を見せることは強力なブランディングになります。
これからの整備業界に必要な視点
少子高齢化により、整備士の人材不足は年々深刻化しています。
そんな中、「今まで整備業界にいなかった層」を掘り起こすことが、持続可能な採用戦略の鍵となります。
女性整備士の採用は、まだ業界全体としては未成熟な分野です。
だからこそ、いち早くその道を切り拓くことが、他社との差別化につながるのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。あなたの会社の整備士採用に少しでも役立てばうれしいです。