沈黙には2種類ある
商談中の沈黙には、実は2種類あります。
1つは、話が続かなくなっての沈黙。
これは、単純に会話のネタが尽きてしまった状態です。特に、買う買わないの終盤でこの沈黙が起こると、お客様から「検討します」が出やすくなるので、注意が必要です。
もう1つは、意図的な沈黙です。
こちらも、買う買わないの終盤やクロージング後に使うことがあるんですが、これは、迷っているお客様への無言の圧力なんです。何も言わない時間をあえて作り、お客様自身に考えて、その場で答えを出していただく。これは、かなり高度な技術だと思っています。
ベテランほど、沈黙に耐えられない
面白いのは、経験の浅い営業マンとベテラン営業マンとで、沈黙への対応に差があるかというと、実はベテランほど、沈黙に耐えられずペラペラ話してしまう傾向が強いんじゃないかということです。
なぜ、ベテランほど沈黙に耐えられなくなるのか、もう少し掘り下げておきます。経験を積んだ営業マンは、お客様の反応を敏感に読み取る力がついています。
だからこそ、沈黙が続くと「何か不安を感じさせているんじゃないか」「このままだと商談が終わってしまうんじゃないか」という不安が先に立ち、つい言葉で埋めようとしてしまうんだと思います。皮肉なことに、経験が豊富だからこそ、沈黙を怖がってしまう面があるんですよね。
一方で、経験の浅い営業マンは、そもそも沈黙が怖いという感覚自体、まだそこまで強くありません。だから、意図せず沈黙をそのまま置いておけることもあります。
ただ、それは狙って作った沈黙ではなく、たまたまです。狙って作れるようになって初めて、技術と呼べるものになります。
本来、その場面ではあえて沈黙を作った方がいいケースも多々あります。でも、ベテランになるほど、経験からくる「間を埋めなきゃ」という反射が強くなってしまうのか、せっかくの意図的な沈黙のチャンスを、自分から潰してしまうことがあるんです。
繰り返しになりますが、沈黙には2種類あります。変な間を空けない方がいい場面と、あえて沈黙の間を作った方が良い結果につながりやすい場面。この見極めが、営業マン自身にできているかどうかが、成約率を左右する大事なポイントだと思っています。
これは、台本には落とし込めない
正直に言うと、この沈黙への対応は、他の場面のように型やルールに落とし込んではいません。理由はシンプルで、再現性が低いからです。
「このタイミングで沈黙が来たら、こう対応する」というルールを作ろうとしても、お客様の表情、これまでの商談の流れ、クロージングのタイミングによって、その沈黙が「話が続かない沈黙」なのか「意図的に作るべき沈黙」なのか、答えは毎回変わります。マニュアル化できるほど、単純なものではないんです。
それでも、経営者としてできることはある
台本に落とし込めないからといって、何もできないわけではありません。この「見極め」の感覚は、ロープレを仕組みとして続けながら、実際の商談の振り返りを重ねることで、少しずつ育てていけると考えています。
具体的には、商談後のフィードバックで、「あの沈黙は、話が続かなくなっていた沈黙だったのか、意図的に作るべき沈黙だったのか」を、営業マンと一緒に振り返ります。この振り返りを繰り返すことで、営業マン自身の中に、パターンを見分ける感覚が少しずつ蓄積されていきます。
すべてを型にはめようとするのではなく、型にはめられないものがあることを前提に、その感覚をどう鍛えていくかを考える。これも、経営者がやるべき仕事の一つだと思っています。
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