思い込み④ 「売れている営業マンがいるから大丈夫」は危険です

思い込み④ 「売れている営業マンがいるから大丈夫」は危険です

こんにちは。
車屋専門 利益改善コンサルタントの野瀬です。

今日は、私が車屋を経営していた頃に経験した、かなり苦い話をしたいと思います。

私の会社には、ものすごく売れる営業マンがいました。

成約率は70%を超え、お店で販売する車の約半分を彼一人で売っていました。

値引きも少ない。

粗利も高い。

変な売り方をしないのでクレームも少ない。

社長の私から見ても、

「マジで超優秀だな。」

と思う営業マンでした。

ところが、ある日。

その営業マンが会社を辞めることになりました。

その瞬間、私が最初に思ったのは、

「ヤバイ……。」

でした。

もともとは営業未経験の若い社員でした

最初から売れる営業マンだったわけではありません。

私がマンツーマンで営業を教えた若い社員でした。

営業トークを教える。

商談を振り返る。

ロープレをする。

一つひとつ教えていきました。

それを真面目に吸収して、どんどん成長していった。

1年くらい経った頃には、

「もう俺のコピーだな。」

と思えるくらいになっていました。

そして、気がつけば成約率70%超。

店の販売台数の約半分を一人で売るトップ営業マンになっていました。

社長としては当然うれしいですよ。

自分が教えた社員が成長して、会社の利益に貢献してくれている。

これほど頼もしい存在はいませんでした。

ただ、今振り返ると、

そこに大きな落とし穴がありました。

トップ営業マンが辞めると聞いた瞬間、「売れなくなる」と分かりました

退職すると聞いたとき、

私はすぐに思いました。

「これは売れなくなるぞ……。」

なぜなら、他の営業マンと彼では営業力にかなり差があったからです。

そして、その予感は当たりました。

彼がいなくなってから、

明らかに売り逃しが増えました。

販売台数も落ちました。

それまでなら決まっていたような商談が決まらない。

お客様が普通に帰っていく。

目の前で会社の営業力が落ちていくのが分かりました。

私はそこで、

トップ営業マンに依存する経営の怖さ

を思い知らされました。

「また売れる営業マンを採用すればいい」では解決しない

もちろん、

「じゃあ、また優秀な営業マンを採用すればいいじゃないか。」

という考え方もあります。

でも私は、そうは考えませんでした。

なぜなら、

本当に売れる営業マンほど、ずっと会社にいてくれるとは限らない

ことを知っていたからです。

これは私自身がそうだったから、よく分かります。

私自身も会社員時代はトップ営業マンでした

私は独立する前、自動車販売会社で営業マンをしていました。

営業成績が上がってくると、

自分でも、

「俺は売れる。」

という自覚が出てきます。

そうなれば、

もっと条件のいい会社に行きたい。

もっと自分を評価してくれる環境で働きたい。

独立して自分でやってみたい。

そう考える人が出てくるのは、ある意味当然です。

他社から引き抜かれることだってあります。

だから私は、

トップ営業マンが辞めること自体を責めても仕方がないと思っています。

問題は、そこではありません。

本当の問題は「会社が一人に依存していること」

問題なのは、

その人が辞めた瞬間に会社の業績まで落ちてしまうことです。

トップ営業マンが月20台売っている。

だから会社としては売れている。

一見すると問題ありません。

でも、

その20台が、

「会社の営業力」で売れているのか。

それとも、

「その人の能力」で売れているのか。

ここは全く違います。

もし後者なら、

その営業マンが辞めた瞬間、

会社から営業力まで一緒に出ていってしまいます。

私は実際にそれを経験しました。

「普通の人でも売れる会社を作ろう」

そこで私は、考え方を変えました。

次のトップ営業マンを探すのではなく、

普通の人でも一定レベルで売れる会社を作ろう。

これが大きな転機でした。

一人のスーパースターを作って、

その人に会社の売上を背負わせるのではない。

誰が担当しても、

一定以上の商談ができる。

誰が担当しても、

一定以上の成約率を出せる。

そんな会社にした方が、経営は圧倒的に安定します。

そこで本気で取り組んだのが、

営業の仕組み化でした。

売れる営業マンの頭の中を「会社の財産」にする

私が考えたのは、

「売れる人がやっていることを、他の社員もできるようにすればいい。」

ということでした。

そこで、

営業台本を作りました。

営業補助ツールを作りました。

毎日ロープレをしました。

商談が終わったらフィードバックしました。

売れる営業マンの考え方やマインドセットも繰り返し伝えました。

それまで営業マン個人の頭の中にあったものを、

会社の仕組みに変えていったのです。

営業マンのセンスや経験だけに任せるのではなく、

「この場面では、こう話す。」

「お客様がこう言ったら、こう対応する。」

「ここでは必ず、この説明をする。」

一つずつ言語化していきました。

ロープレも「やった方がいい」では続きません

もちろん、

営業台本を作っただけでは意味がありません。

読んだだけで売れるようになるなら苦労しません。

だから、ロープレも毎日やるルールにしました。

1日30分程度。

新人なら、

展示場での立ち話から店内へ誘導する場面。

中堅やベテランなら、

ヒアリング。

信頼構築。

クロージング。

それぞれ課題のある場面を切り取って練習する。

そして実際の商談が終われば、

「ここは良かった。」

「ここでこの一言を入れた方がいい。」

「なぜ、ここでクロージングしなかった?」

とフィードバックする。

これを繰り返しました。

ある日、どの商談テーブルからも同じトークが聞こえてきた

営業の仕組み化を続けていくと、

少しずつ会社が変わっていきました。

ある時、店内にいると、

いろいろな商談テーブルから営業マンの声が聞こえてきました。

聞いていると、

みんな同じ流れで、同じようなトークをしている。

「あ、ここまで来たか。」

と思いました。

もちろん、営業マンそれぞれに個性はあります。

全員をロボットのようにする必要はありません。

でも、

売れる商談の基本的な流れは共通している。

新人でもベテランでも、

一定レベル以上の商談ができる。

そして、

誰が担当しても成約率が安定するようになっていきました。

私が店にいなくても売れるようになった

さらに大きかったのは、

私自身が店にいなくても、毎月安定して売れるようになったことです。

以前なら、

「今日は誰が商談しているんだ?」

「ちゃんと決められるかな?」

と気になっていました。

でも、営業の仕組みが会社に入ってくると、

社長がすべての商談を見る必要がなくなります。

トップ営業マン一人に頼る必要もありません。

誰かが休んでも売れる。

誰かが辞めても、会社の営業力が全部なくなるわけではない。

これは経営者として、本当に大きな安心感でした。

トップ営業マンがいることと、営業力のある会社は違う

私はトップ営業マンを否定しているわけではありません。

優秀な営業マンがいることは、もちろん会社にとって大きな財産です。

でも、

ここを勘違いしてはいけません。

トップ営業マンがいる会社=営業力のある会社

ではありません。

トップ営業マンがいなくなった途端に売れなくなるのであれば、

それは会社が強いのではなく、

その営業マンが強かっただけです。

会社として本当に目指すべきなのは、

一人のスター営業マンを作ることではありません。

普通の人でも一定レベルで売れる仕組みを作ることです。

まとめ|強い会社は「誰が担当しても売れる」

トップ営業マンは頼もしい存在です。

でも、

一人に依存すればするほど、経営リスクは高くなります。

退職。

引き抜き。

独立。

病気。

何が起きるか分かりません。

そして、その人がいなくなってから営業組織を作り直そうとしても、

持ち直すまでの間、会社は大きな損失を受けます。

私は、それを実際に経験しました。

だからこそ伝えたい。

トップ営業マンがいる会社が、強い会社なのではありません。

トップ営業マンがいなくても売れる会社が、強い会社です。

一人の才能に会社の売上を預けるのではなく、

売れるやり方を会社に残す。

営業台本。

ロープレ。

商談フィードバック。

数字管理。

こうした仕組みを会社の中に作っていく。

それが、

人に依存しない「利益が残る営業組織」への第一歩です。

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