こんにちは、野瀬です。
17年間、中古車販売店を経営してきました。
車が売れなくて悩んでいた頃もありましたが、それ以上に心がすり減ったのが、営業マン同士のギスギスした空気でした。
- 「あの人ばっかり接客してズルい」
- 「後輩に商談取られるなんて許せない」
- 「新人がミスしても誰もフォローしない」
正直、社内の雰囲気が最悪だった時期がありました。
売上以前に、人が辞める。育たない。会社が回らない。
いわゆる「内部崩壊」です。
でも、そんなウチの会社が劇的に変わったのは、
たった1つのルールを導入したからです。
それが
「打順制(だじゅんせい)」です。
この記事では、その「打順制」がどういうものか?
そしてなぜそれが、会社を救うほどの効果を生んだのか?
実体験から詳しくお伝えします。
当時のウチの会社の“ひどすぎる現実”
私が打順制を導入する前、営業現場は完全な「早い者勝ちルール」でした。
- 入口でお客さんの車が止まると、ベテラン営業がダッシュして対応
- 新人や非力な人は、いつまで経っても商談チャンスが回ってこない
- 接客チャンスを巡って、営業同士の言い合いや陰口が絶えない
- 売れる営業が「王様」状態になり、現場の空気が最悪
私は社長として、「お前ら仲良くしろ!」と叱ったこともあります。
でも、それで改善されるわけがないんです。
なぜなら、「仕組み」が悪いから。
「打順制」って、どういう仕組み?
とてもシンプルです。
来店したお客さんに、成約率が高い順番(打順)で営業が対応するというルールです。
つまり、誰が先に立っていても、誰が暇でも、順番を守る。
飲食店の「順番待ち」と同じです。
- 朝礼でその日の打順を決めておく
- 商談が終わったら、次の人が先頭に
- 商談中に新規来店があっても、次の打順の人が担当
これだけのことです。
「たったこれだけ」で、何が変わったのか?
導入してから、社内の空気が一変しました。
その変化は、次の3つに集約されます。
【1】ギスギスが消え、営業同士が協力しはじめた
まず、「商談を奪い合う空気」が完全になくなりました。
「今は俺の番じゃないから、準備でもしておこう」
「次の打順の◯◯くんが苦戦してるな、手伝ってあげよう」
そんな声が自然に聞こえるようになったんです。
かつては、仲間を蹴落としてでも商談を取る、まさに「弱肉強食」。
それが、チームで助け合いながら売上を作る文化に変わっていきました。
【2】新人にも商談のチャンスが与えられた
早い者勝ちだと、新人はベテランに遠慮してなかなか前に出られません。
でも、打順制ならどんなに経験が浅くても、必ず接客の番が来る。
そして新人が成約できたとき、
「うぉぉ!やったな!」「次はオレが勝つぞ!」とチーム全体が盛り上がる。
小さな成功体験が、営業マンの“自信”と“定着”を生み出すんです。
【3】接客に「準備」と「質」が生まれた
打順が決まっていることで、営業マンは自分の順番に向けてしっかり準備をするようになりました。
- 何を話すか
- どの資料を使うか
- どの車を見せるか
これまでは突然お客さんが来てアドリブで対応する感じでしたが、
今はまるで舞台の出番を待つ役者のように、万全の準備をして接客に臨む。
当然、接客の質も成約率も上がります。
なぜ「売上よりも人間関係」が重要なのか?
営業職は個人主義に見えて、実は人間関係がすべてです。
- ベテランが後輩を育てるか?
- 営業同士が情報共有するか?
- 店全体が「売れる空気」になっているか?
これらが整っている会社は、結果的に「売れる会社」になります。
どれだけ広告をかけても、どれだけ車両を仕入れても、
内部がバラバラでは、成果は長続きしません。
「打順制」は、成果主義に合わないのでは?という誤解
こういう声もよく聞きます。
「でもそれって、頑張ってる営業にとっては不公平じゃない?」
「トップ営業が機会を奪われるのでは?」
たしかに、短期的には「売れる人がもっと売る」構図を崩すことになります。
でも、長期的に見ると、“トップ以外”が育つ環境こそが、会社の売上を最大化します。
売れる人が辞めた瞬間、崩壊する会社にしないために、
「誰でも売れる」「みんなが育つ」土壌が必要なんです。
仕組みが整えば、社長のストレスも激減する
打順制を導入してからというもの、
私は現場で仲裁に入ることが一切なくなりました。
- 誰がどのお客さんを担当するか
- 誰がどれだけ接客したか
- 営業同士の不満や不公平感
すべてがルールで解決するから、社長がいちいち判断しなくていい。
おかげで、現場に張り付かなくても回る体制ができ、
私は経営者としての時間をようやく取り戻せたんです。
まとめ:強い営業組織は、ルールでつくられる
かつての私は、「営業マンは数字で評価」「競争が成長を生む」と思っていました。
でも、それは表面的な成功でした。
本当の成長は、仲間を信頼し、助け合い、全員が成長できる環境から生まれる。
「打順制」は、それを支える最高の土台です。
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