こんにちは、車屋専門の採用コンサルタント野瀬貴士です。
自動車整備士と聞いて、未だに「男性が働く職場」というイメージを持っている人も多いかもしれません。
しかし最近では、女性の整備士が増えつつあり、「女性も安心して働ける整備士職場づくり」が業界全体の課題となっています。
この記事では、女性が長く安心して整備士として働ける職場環境をどう整えていくか、その具体策と成功事例をご紹介します。
なぜ「女性が安心して働ける職場環境」が必要なのか?
整備士業界は今、深刻な人材不足に直面しています。
国土交通省のデータでは、整備士資格保有者の女性比率は全体の2.1%前後と、非常に低い数字。
しかし、だからこそ、女性が活躍できる環境を整えることは、採用力の強化・人材定着に直結します。
といっても「せっかく採用しても、女性社員がすぐ辞めてしまう…」
という企業も少なくありません。
その主な原因は、設備・制度・文化の未整備にあります。
たとえ整備士としてのスキルやモチベーションがあっても、働く環境に課題があれば継続は難しくなりますよね。
実際に、女性の整備士の採用はしたことあるけど、すぐに辞めるから採用したくないといった声も聞いたことがあります。
しかし、それは実は、会社側の環境の問題でもあるのです。
ですので、女性整備士の採用を考えるのなら、職場環境から改善していく必要があります。
では、どのような職場環境が女性整備士にとって良い職場と言えるでしょうか?
女性整備士が安心して働ける職場環境の条件とは
実際に女性が働きやすい職場をつくるには、どのようなポイントが重要なのでしょうか?
ここからは、女性整備士が働きやすく採用定着しやすくなるポイントをお伝えいたします。
まず、清潔で使いやすい更衣室・トイレの整備は女性にとっては重要なポイントです。
例えば、
・男女別の更衣室・ロッカーの完備
・清掃が行き届いたトイレや洗面スペース
・女性専用の休憩スペース
このような設備があるだけで、安心感と職場への信頼度が大きく向上します。
また、セクハラ・パワハラ防止への取り組みは会社にとって昨今最も大切な一つになっています。
特に、女性が少数派の職場では、無意識の偏見や言動がストレスとなることがあります。
そのため、以下のようなハラスメント対策の「見える化」が大切です。
- ハラスメント防止研修の実施
- 外部相談窓口の設置
- 問題があった場合の即対応ルール
これらを社内で明確にし明示することで、女性社員にとって「守られている」という安心感が生まれます。
次に、結婚・出産・育児など、ライフステージの変化に対応できる制度も重要です。
例えば、
- 時短勤務やシフト制の導入
- 子育てとの両立支援(保育補助、育休後の復職支援)
- 配偶者の転勤に伴う異動や配慮
これらが整備されていれば、長期的なキャリア形成が可能になります。
また、生理休暇なども考慮することでより柔軟な会社として信頼を得られるでしょう。
その際には、逆に男性スタッフへの配慮も同時に必要です。
このような配慮から、女性一人だけが孤立しないよう、チームで支え合う文化を作ることも大切です。
そして、女性が働きやすい整備職場は、実は男性にとっても働きやすい職場になります。
休憩所が快適、シフトが柔軟、ハラスメントがない…
これらは誰にとっても魅力的な環境です。
さらに女性整備士がいることで、企業イメージの向上や、女性顧客へのサービスの幅も広がり、ブランディングの強化にもつながります。
実際に集客にもつながっているという話もあります。
実践事例に見るポイント
たとえば、トヨタモビリティ東京株式会社では、現場整備士だけでなく、技術指導やお客様説明に女性整備士を起用。
制服デザインの変更や休憩室の再整備も行っています。
参照:トヨタモビリティ東京・女性社員紹介ページ(https://www.toyota-mobi-tokyo.co.jp/recruit/staff/interview/06)
また、Honda Cars系列の一部販売店では、毎年女性整備士を対象とした社内コンテストを実施し、キャリアアップの意識向上に成功しています。
ただし、これは大手企業の例なので、中小企業や小規模では無理ではないか?と思う方もいるかもしれません。
ですので、中小企業が女性整備士の導入を進める際には、ただ制度や設備を整えるだけでなく、現実的な運営面・組織文化・周囲の理解形成にも目を向けることが重要です。
また、国土交通省が推奨しているガイドラインも参考にしましょう!
参照:自動車整備業における女性が働きやすい環境づくりのためのガイドライン(PDF)https://www.mlit.go.jp/common/001209610.pdf?utm_source=chatgpt.com
女性も安心して働ける整備士職場を実現するには
女性も安心して働ける整備士職場を実現するには、これまでお伝えしてきたように、設備・制度・意識改革といった複数の要素が必要です。
一見すごく難しいように感じますが、決して難しいものではありません。
一つひとつを積み上げていくことで、誰もが活躍できる整備業界の未来が見えてきます。
整備士不足が深刻化している今だからこそ、社内の整備や制度、意識などを見直していき、新しい時代にあった採用の考え方を学んでいくことが整備士だけではなく、自動車業界での採用成功へとつながっていきます。
もし、あなたの会社で採用がなかなかうまくいかない状況にお悩みでしたら、きっとあなたの力になれると思います。
まずは、お気軽にご相談ください。